平成19年9月18日、大野会員が高岡市の二上山域内において
「クツワムシ」(クツワムシ科)Mecopoda niphonensis (de Haan、1943) のオスを、
2頭採集した。9月21日にもオスを2頭採集した。
クツワムシは、体長約5cm、外見はバッタに似ており茶色の体、雄が求愛のときに羽をこすり「ガチャガチャ」と大きな音を出す。
クツワムシは採集後、大野会員宅で飼育、夜はひときわ大きな声で鳴いていた。
クツワムシは県内では富山市(旧八尾町、旧婦中町)と小矢部市での採集記録はあるが、二上山の域内での採集は報告例がなかった。
二上山西麓の海老坂地区に次のような伝説があるので、大野会員は注目して調査していた。
「くつわ虫伝説」 樽谷雅好=当会々員(『高岡の伝承』高岡市児童文化協会・編著1979より)
安養山極楽寺(博労町)は往時、海老坂の久津呂谷に建っていたという。
この久津呂谷において、攻め入ってきた越後の上杉軍と、これを迎え撃つ当地の神保軍との間に激しい戦いが繰り広げられたという。
刀や槍の触れ合う音が「ガチャ ガチャ.ガチャ ガチャ.」とすさまじく、谷間いっぱいにこだました。それを聞いた虫が「くつわ虫」となって、今も多く久津呂谷に棲みついて、秋ともなると「ガチャガチャ」、羽音をやかましく鳴らすのだと伝える。
さらに海老坂の奥の「かっちゃがち」も古戦場であったといい、やはり「くつわ虫」が沢山棲んでいる。秋、「くつわ虫」を採りに行くと、武具の擦れあう音と共に「オ〜イ、オ〜イ!」と口々に叫ぶ、戦で死んだ何百人もの侍の声がどこからともなく聞こえてきて、谷の奥へは怖くて進み込めなかったものだという。
(なお、クツワムシを漢字で書くと「轡虫」で轡とは「馬の口に含ませ、たづなをつけて、馬を扱うのに用いる金具」である。)
大野会員は、数年前より秋期に「クツワムシ」の生息を二上山域内で調査していたが、今回、太田地区の渋谷川沿いで採集することができた。
なお、伝説に古戦場とされる海老坂の「久津呂谷」と「かっちゃがち」は、地理が不明確でもあり、いまだ確認していない。
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